Jazz Nad Odrą '77 (Laureaci) / Various Artists


絶対に復刻されないだろうなシリーズ。

自分の傾向としては、ライブ音源よりも作りこまれたスタジオ音源を好むのだが、ライブ作品を否定するわけではない。実際、スタジオ作品を凌駕するライブ作品というのも多い。有名ドコロでは Donny Hathaway の "Live" か。

それでは当たり前すぎて面白くない、ということでここで紹介するのはポーランドの"Jazz Nad Odrą '77 (Laureaci)"というレコード。

ポーランドのジャズフェスの録音だそうなんだけど、これがすごいジャズロック/ファンクでとんでもない作品なのである。

ターンテーブルを持っている人は是非このLPを手に入れて聴いてもらいたい。ちなみに結構高かった。7000円くらいしたような気がする。今だったらもう少し安いのかも。

http://www.discogs.com/Various-Jazz-Nad-Odr%C4%85-77-Laureaci/release/3749000

Jazz Nad Odrą '77 (Laureaci) / Various Artists

1977, Poland, Poljazz, Z-SX 0648

1. Świadectwo Dojrzałości - Świątynia Dumania
ジャズファンク調の曲。のっけからこの曲でこのLPは最高だということがわかる。クロスオーバーな感じで、概ねジャズ60%ファンク30%ロック10%という最高の配分だ。ギターのパフォーマンスがロックっぽくてかっこ良すぎる。
2. Świadectwo Dojrzałości - Błotnik
これもジャズファンク調。A面はファンクっぽい感じかもしれない。と言っても3曲しかないが。配分はジャズ60%ファンク40%。この曲はサックスが前面に出されている。
3. Świadectwo Dojrzałości - Aksjomat
前2曲と比べると比較的静かで荘厳な雰囲気の曲。配分はジャズ70%ファンク30%といったところか。で、A面はŚwiadectwo Dojrzałościという人の作品なんだが、情報がほとんどなくてプロフィールがわからない。天才だということは痛いほどわかる。
4. Muzyczna Spółka Akcyjna 1111 - Autoportret X
そして、B面突入。この曲はすごい。何がすごいかって15分近くもある大作だが、もーかっこいいのなんの。フェイザーの効いた泡立つようなローズサウンドが印象的だ。はじめはゆったり。3分近くなるとリムショットから呼び出されるかのようにベースが乗ってくる。全編に渡ってベースが影の主役だ。そして、6分近くなるとまた少し変化があり、なんと弦楽器が入ってくる。そこからリズムが段々とタイトにファンキーになっていき、ローズのソロだ。これはやられる。だがここでノックアウトするのはまだ早い。8分くらいで少し落ち着き、弦楽器も調子良く鳴り響く。8分半あたりからのクールすぎるベースソロに引きずられ、徐々にリズムがテンポアップ。11分あたりから始まるファンクネスなサウンド。ローズのバックに支えられたクリーンなギターの、シンプルだがセンスたっぷりなフレーズが癖になりそうだ。いつまで聴いていたいギターだが、13分半あたりで最高潮を迎える。とまあこんな感じの曲だ。

5. Juliusz Mazur & Crash - Akalei
打って変わって、サンバ調。この曲はコンピレーションCDに入っていたりするため、比較的メジャーかもしれない。youtubeの動画はピッチが遅すぎて雰囲気すら伝わらない。聴き所は終盤のトランペットソロのバックの和音。ベースが最低音、ギターとエレピがそれぞれ別のトライアドを奏でて、こういうのアッパーストラクチャートライアドっていうの?分数コードの複雑な和音を構成している、と思う。検証してないから適当なので突っ込まれるとキビシイが、すごく気持ちよい和音なのだ。過去の記事でも取り上げた。http://d.hatena.ne.jp/satakesatake/20070527/1180231828



5曲しかないコンパクトなライブ盤。まあこんくらいが集中力持続して聴けるんでちょうどいいです。