「リング」と「らせん」

「リング」、「らせん」、ともに映画は見ていたのだが、原作を読むのは初めて。「ループ」を読んでから感想を書こうと思ったけど、面白かったから書いちゃおう。「ループ」は今読んでます。まだまだ序盤だけどやはり面白い。

リング (角川ホラー文庫)

リング (角川ホラー文庫)

らせん

らせん

ぶっちゃけ、おれは「らせん」のほうが好みだ。何故ならそれはSFだから。「らせん」は怖くない、ホラーじゃないから駄作っていう人もいるみたいだが、スーパーナチュラルオカルトホラーの「リング」よりも辻褄という点では、完全に勝っている。

まず、人を死に導く得体の知れないビデオがあり、その映像を解き明かしていくことで、どのような背後関係があったかを探り、死を回避する可能性を模索する、というのが「リング」の大まかなストーリーだ。

一方、「らせん」のストーリーは、「リング」ビデオが人体に作用する工程を観察し、生き残った人間がその後どういう運命を辿るのかを追っていく。一部、ちょっとこれは無理があるんじゃないか?的なくだりはあるにはある。だが、全体的なムードという点では、「らせん」は「リング」を超えている。物語のテンポも、「らせん」のほうがスムーズに頭に入ってきた(きっとこれは、どこかで聞きかじった科学的な予備知識が、自分にあったからなのかもしれないが)。

無論、これは好みだ。自分は遺伝子、ウイルス、クローンなどといったテーマに弱い。また、それが多少の現実味をもって語られていく様に、何とも言えずシビレルのだ。

「リング」は説明のつかない、得体の知れない怖さがある。それが"オカルト"、"ホラー"たる所以だ。「らせん」は劇中世界で、論理的に辻褄を合わせ(無理やり感はあるが、破綻はしていない)、科学的な怖さをかもし出す。この二作品の性質はまるで違う。「リング」が良いと言う人もいれば、「らせん」が良いという人もいるだろう。

おれの中では圧倒的に"カッコイイ"のは「らせん」のほうだ。しかし、「リング」を読まなければ、「らせん」は意味不明だろう。そういう意味では「らせん」のほうが小説としては不安定な位置にあるのかもしれない。

やはり、映像としてみる面白さは「リング」に軍配が上がるかな。あちらは、映画向けにさらに過剰な演出を加えてゾっとさせることに成功している。でも、おれは映画も「らせん」のほうが好みだったんだよなー。意味不明とか言う人もいるが、ぜんぜん意味不明じゃなかった。ビデオとウイルスの関係。刺激的だ。

うーん、もう一回見たくなってきた。