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宇宙創成(上) (新潮文庫)

宇宙創成(上) (新潮文庫)

宇宙創成(下) (新潮文庫)

宇宙創成(下) (新潮文庫)

サイモン・シンの新著――といっても2年前にハードカバーで出版された「ビッグバン宇宙論」の改題文庫本版――ならば見逃すわけには行かない。本屋でジャケ買い

サイモン・シンの著作は読みやすい。専門的になりすぎず、入門書もしくは、深入りはするつもりはないが、知識として…ならばこれほど持ってこいの本はないと思う。個人的に、題名に「宇宙」が入るだけで評価が2〜3割り増しになるくらい「宇宙」というムードが好きだ。確かに内容は薄っぺらいのかもしれない。ただ、これ以上、この厚みで、この本に、他に何を求めろと言うのか。

ビッグバン理論には必須なはずのアレコレの説明が足りない、などと不満を漏らす人はきっとビッグバンについていろいろとご存知なのだろう。自分など、いろいろとご存知ないほうの人種だ。言葉は知っていても、ドッカーンと爆発して、すごく短い時間の間に原始宇宙が出来上がったくらいの知識しか持ち合わせてない。その程度の人種にはこのくらいが丁度いい。いくら詰め込んでも一冊で事足りる本などどこにもないのだ。それくらいビッグバンには様々な事柄が作用している。それからこの問題に対して、深く追求するか、違う趣味に目を向けるかは個人的な問題だ。

アレコレの説明が足りない――これは入門書について言ってはいけない評だと思う。入門書はきっかけを与える。悪い入門書もあれば良い入門書もある。その分岐点はおそらく説明しすぎないことではないだろうか。専門知識を持っている人にとって少し物足りないくらいが入門書としては良いものであるように思う。もちろん、専門家から見てああわかってるな、という分野を取りこぼさないことも必要だけれど。

そういうわけで、「宇宙創成」これはオススメです。

下巻の元素合成の部分など、非常に興味をそそられた。まさに星は錬金術をやってのけたわけだ。化学の授業もこういった話を織り交ぜれば楽しくなりそうなんっだが。